
福士蒼汰さん主演の実写映画でも話題になった漫画『曇天に笑う』

アニメ化、舞台化もされた大人気作品ですが、その前日譚があるのをご存じでしょうか?
今回紹介する『煉獄に笑う』(読み方:れんごくにわらう)は、『曇天に笑う』の300年前の物語。
舞台は戦国乱世の近江の国。後の石田三成である青年を主人公に、300年に一度蘇る呪大蛇(ノロイオロチ)を巡ったバトル漫画。現在も連載中です。
『煉獄に笑う』あらすじ
時は天正5年。石田佐吉は羽柴秀吉より「髑髏鬼灯(どくろほおずき)を探し出せ」との命を受け、近江の曇神社を訪れます。
そこで出会ったのは「忌み子」と呼ばれる男女の双子・曇芭恋(くもうばれん)と曇阿国(くもうおくに)。髑髏鬼灯を知っている様子だが、なかなか一筋縄ではいかない双子。
この出会いをきっかけに、佐吉は大蛇と曇家、そして自らの運命を巡る渦の中に引き込まれていく―。
主な登場人物
石田佐吉
主人公。秀吉の小姓であり、彼を敬愛している。頑固でへいくわい者(無遠慮の意味)と呼ばれ、友達は少ないが情に厚い。正直者で隠し事ができない。
「髑髏鬼灯」を探すために曇の双子と知り合い、大蛇を巡る戦いに巻き込まれていく。
曇芭恋
八代目曇家当主である双子の片割れ。根に持ちやすくしつこい性格だが面倒見は良い。人の神経を逆なでしてからかう天才。戦闘能力はかなり高い。
「忌み子」と人々から嫌われてきたため、自分と阿国しか信じていない。大蛇復活を阻止し、愛する近江を守るため佐吉と義兄弟の契りを交わす。
曇阿国
八代目曇家当主である双子の片割れ。好奇心旺盛だが飽きっぽい性格で天邪鬼。女性ながら戦闘能力は高い。芭恋と同じく自分たちしか信じていなかったが、佐吉のことは信頼し、義兄弟の契りを交わす。
百地丹波
伊賀の三大上忍の一人で、百地家の当主。超人的な戦闘能力の持ち主であり、冷酷非道な暗殺者。伊賀で最も危険な男。大蛇を狙っている。
織田信長
「魔王」と恐れられる尾張の武将。天下を手に入れるために大蛇を狙っている。
比良裏(ひらり)
隻腕の青年。『曇天に笑う』などシリーズを通してのキーパーソンのひとり。
用語解説
呪大蛇
300年に一度蘇り、この世の全てを滅ぼすとされている。大蛇を手にする者が日ノ本を制すると言われるほどその力は強大で、多くの者が狙っている。
大蛇の器
大蛇を宿す器となる人間。石田佐吉、曇芭恋、曇阿国、黒田官兵衛、国友藤兵衛、国友勇真、安倍晴鳴、織田信長、明智光秀の9名が器の候補。
髑髏鬼灯
大蛇の器を知る手がかりとなるもの。それがどういうものなのかも知られていないが、その正体は―?
曇家
代々大蛇退治の役目を担っている一族。髑髏鬼灯を守る盾となる。
伊賀忍
伊賀の忍集団。中でも百地家が絶大な力を誇る。大蛇を狙う派閥のひとつ。
『煉獄に笑う』のここが面白い
①大迫力のバトルシーン
戦国乱世が舞台ということもあり、バトルが多い作品。刀、鉄砲、忍術、あらゆるスタイルが入り乱れるバトルシーンは大迫力です。

特に第二次伊賀の乱での戦闘は見所満載だよ
②登場人物の生き様がかっこいい
登場人物は皆、己の信念を貫いています。

特に、男たちの世である戦国時代において、作中の女性陣のかっこよさは同姓であっても惚れてしまうほど
女であっても強くあれと願う阿国は、愛する近江の国を守るために戦い、もし芭恋が大蛇であれば自らの手で殺す覚悟をしています。他にも、一族のために頭領として命をかける者、受けた恩に報いるためにその身を犠牲にしてでも力を手にする者、皆男と対等に渡り合い、戦います。
第二次伊賀の乱では、百地一派の忍集団・八咫烏にもスポットが当たります。
高田川
③史実を踏襲した物語の展開
呪大蛇が題材なのでファンタジー要素も強いですが、史実もしっかり反映されています。
今までにスポットが当たったのは、敵対する織田と伊賀、そして国友の関係。この辺りは史実通りの力関係で、実際にあった天正伊賀の乱も作中で描かれました。
片男波
もちろん史実を知らなくても十分楽しめます。
今後、まだ登場していない徳川家康や石山本願寺などが、どう絡んでくるのかも楽しみです。

主人公が石田三成なので、関ヶ原の戦いへの発展にも注目しましょう
④シリーズ通して楽しめる
『煉獄に笑う』は『曇天に笑う』の300年前の物語。どちらも大蛇を巡った近江の話であり、さらに煉獄から300年前が舞台の『泡沫に笑う』という始まりの物語もあります。
高田川
大蛇退治の役割を持つ曇家だけでなく、器候補とされる者には、ある一定の家系の者たちが含まれます。「このキャラはあのキャラの子孫なのか」という楽しみができます。
全シリーズに登場するのは比良裏。さらに牡丹という女性。600年の時を経て全てに登場する彼らは何者なのか、答えは『曇天に笑う』で出ているのですが、彼らの活躍にも注目です。

時系列では、『泡沫に笑う』(鎌倉)→『煉獄に笑う』(安土桃山)→『曇天に笑う』(明治)という順だよ
『曇天に笑う』が最初のシリーズなので、こちらから読み始めるのがおすすめですが、もちろん『煉獄に笑う』だけでも楽しめます。
片男波
『泡沫に笑う』は比良裏と牡丹のロマンスが主軸なので、スピンオフ的に楽しむ作品となっています。
今後の注目ポイントと感想(ネタバレあり)
現在も連載中の『煉獄に笑う』ですが、今後の展開はどうなっていくのでしょうか。注目ポイントをまとめました。
第二次伊賀の乱で、それまで登場していた織田信長は影武者の比良裏であったことが判明しました。
11巻では、有名な本能寺の変が描かれます。しかし、作中で本能寺にいた信長は影武者の比良裏。信長は本能寺で討死しましたが、もちろん本物は生きているということになります。

謎に包まれていた信長ですが、表向きは死んだことになるので、これから自由に動き出すのではないでしょうか。本物の織田信長の動きに注目だね
そして一旦退場となった比良裏。本当にこのまますんなり退場するのか―?
片男波
ようやく比良裏と会うことができた牡丹にも注目。髑髏鬼灯の正体である彼女も、比良裏の思いを受け止め、ここから動き出しそうです。
忘れてはいけないのは芭恋。器候補の一人であり、現在最も大蛇の器説が有力な彼。
高田川
今後、大蛇と器を巡る争いもさらに激しくなっていきそうな予感です。
痛快なバトルと複雑に絡み合う思惑が魅力
今回は『煉獄に笑う』を紹介しました。
大迫力の戦闘シーンは痛快であり、複雑に絡み合う大蛇を巡る者たちの思惑がとても面白い作品です。

伏線もたくさんあるので、今後の展開を予想しながら読んでみてね